しお 2017-09-26 18:29:59 |
通報 |
( 白い煙が溶けるのを眺めながら、煙草の先を車内の灰皿に押し付けて。ジュッとひしゃげた音を聞くのはもう何回目か、見慣れた箱の中は随分減っている。再びニコチンを欲しだした脳味噌と唇を紛らわせるように、チカチカ光る手元の画面に指を滑らせた。排気ガスとネオンに塗れた都会は本当に星が見えないんだと驚いたのはまだ純粋だった頃の話、この年になるとトップコートを引いただけの爪でさえキラキラ光って眩しい。それにブルーライトは目が痛くなる。
「 ……何やってんだろう、私 」
明後日提出の企画書は出来ておらず、本来ならサービス残業している筈の私がいるのは煌びやかなネオン街だ。如何わしい看板を構えた怪しいホテルとお城みたいでファンシーなホテルが隣合わせで並ぶような地獄。更にそこから私がここにいる理由になる少女が出てくるのは、地獄以外に表しようがない。無性に泣きたくなる気持ちを抑えながら冷えきった車内に一気に暖房を効かせ、窓からポニーテールを揺らす彼女に軽く手を振り。)
…… おっそいよ、何時だと思ってんの?
トピック検索 |