Murder 2017-09-25 17:48:35 |
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>パーカー
(それは微かな音だった。極めて軽い足音……革靴ではない。かといってヒールの類でもなくて、多分スニーカーのようなゴム底の布の靴に近い。段々と近付いてくるその足音が、自分の部屋の前で止まったと認識する前に軽快なノック音が響き渡った。途端、ぶわりと体が緊張していくのがわかる。冷静になれと言い聞かせ、鎖の可動域を頭に起きながらドアを向く。いつでも動ける様警戒して、でも、それができたのは扉が開かれるまでの僅かな時間だけだった。顔を出した男の第一印象は“若い”。次に見知らぬ人間であるという事、その次に侮蔑に対する苛立ちだ。尤もその男が此方を知っていて誘拐に及んだのかは知らないし、知る由だってきっとない。けれど明確に“味方”ではなかった。日常生活で投げかけられたものなら怒鳴り散らしていたであろう、彼の第一声をぐっと飲みこんで前を見据える。左手首を拘束している鎖が伸びるリーチギリギリ、ドレミを歌うみたく無邪気に笑った男に向けて、右足を軸にして腰を回すよう体重を乗せた渾身の蹴りを繰り出した。)
(/こちらこそ宜しくお願いいたします!お気遣いまでありがとうございます。こちらこそ、何かありましたらいつでもお声がけくださいね。現時点で何もなければ背後会話は蹴っていただいて構いません。)
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