ぷれいばっく。 2017-09-16 15:36:04 |
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「 あ、あの。付き合って下さい。 」
携帯越しに聞こえる声、携帯を持つ手が自然と震える。今、私は会ってまもない彼に告白されている。
それは、数週間前の出来事がきっかけだった。
__数週間前。
「 松崎、みちるちゃん?って言うんだよね。俺、羽山 拓巳。同じクラスの…、席で言うと後ろの方の奴。宜しくね 」
此処は光山高校。自宅からは少し離れた位置にある、普通の高校。入学当日、一人で机に突っ伏していた私に話し掛けてきたのは小さめなホルムの彼だった。
たしかに今まで好きになったアニメキャラは身長が小さめなキャラが多かったけど、彼は正直タイプじゃない。
それに入学初日にも関わらず、もうクラスの中心人物だ。彼の席の回りにはクラスの半分の人が集合している、私とは真逆の人物。
そんな彼が話し掛けてきた理由なんて、その時の私には分からなかった。
その日から彼は、私の周りを彷徨くようになった。私も薄々気が付いていた、きっと彼は私が好きなんじゃないかと。それに彼を面白半分で応援する人が多く、度々私と彼を二人っきりにさせようとするクラスの人が多かった。
高校デビューをきっかけに彼氏が欲しかった私にとっては、嫌な事でもなく。それにここで嫌な行動しようならきっと周りから嫌われてしまう、そんな思いが錯誤して彼を好きになる様に自分に言い聞かせていた。
そして、今に至る。
震える手に力が籠る、口を開いても声が出てこない。結局、彼の事はあまり好きでは無かったがこんな私を好きになってくれた事に胸を打たれた。
『 …私で良ければ。 』
やっとこそ振り絞った声で返事をする。電話越しから聞こえる嬉しげな声、がやがやと聞こえる祝福の言葉。嗚呼、クラスの人も聞いていたんだと此処で気付く。これで私も高校デビュー、新しい恋人と沢山思い出が作れると張り切っていた。
…バカな私。
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