五ろの図書委員 2017-09-09 17:45:51 |
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(手を添え相手に羊羹を差し出した直後に、先程自分は相手に可愛いと言っていなかったかとぼんやり記憶を辿り始め。言うその前に可愛いと言えば相手は怒ってしまいそうだと考えていたばかりだと言うのに、と内心で心配になりながら相手を顔色を窺って。羊羹を口にする相手は顔を真っ赤にさせて居り、相手に悪いと考えるよりも先に可愛いという言葉が頭を占めていて。怒られてしまうだろうかという先程の心配は必要なかったらしく、食べ終わった相手からの言葉に安心と同時に愛おしさ感じ。どういたしましてと言う声は相手の続けられた言葉により飲み込んでしまって。それも相手の口から発せられた言葉は何とも照れ臭いもので、顔が真っ赤になるのに長くは掛からず。忘れてくれとの声で締められた言葉が終わるのと同じ時に、自分の手から離れる相手の手を捕まえて握り。「ま、待って。今ちょっと頭整理するので手一杯なんだけど…。まず、忘れてくれって三郎は言ったけど忘れるのは嫌だなぁ。」まだ照れ臭さ故の顔の熱が下がらないまま、へらりと困り笑いを浮かべて。「それに、僕はそんな褒められる程大した人間じゃないとか、“こんな”私とか言って欲しくないとか、色々言いたい事はあるけど。とにかくそんな事をお前に言ってもらえて僕は物凄く嬉しい。ありがとう。」照れ臭さを含んだ柔らかい笑みでそう言っては無意識に捕まえていた手に気が付き、ごめんねと言う代わりに苦笑いを浮かべては手をゆっくりと開放してやり。)
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