21823 2017-08-12 11:52:03 |
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(出来に自信が無かったばかりに妹の言葉は予想外で、目を瞬いてその表情をじっと見詰め。世辞では無く本心から幸せそうな雰囲気を感じ取り、こんなに喜ばれるのならまた作ってやろうと密かに心に決めた矢先、独り言ともつかない妹の決意らしきものが聞こえれば兄として嬉しい様な寂しい様な複雑な思いが胸中を支配し。視力回復は願ってやまないことのはずなのに、手放しには喜べない自分に自己嫌悪。無意識に恐い顔をしていたのだろうか、突然話題を逸らすかのように謝辞を述べる相手に慌てて表情を明るく取り繕い)
目が治ったら、か。……何故謝る?勿論、またお前の手料理が食べられる日を楽しみにしている。
(妹へ告げると言うよりは、自分へ言い聞かせるように呟きながら二口目を与えるべく盛った炒飯を蓮華で崩し。ご飯を乗せた蓮華を強請られるがまま相手の口元に運びつつも、心は何処か上の空で相手の気持ちを案じており。やはり盲目を克服したいのか…考えども妹の本音が分からず、つい、「──紫音。目が見えない今は、辛いか?」とともすれば縋るように真剣な声で問うて)
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