人外好き 2017-08-01 03:59:39 |
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これが本来あるべき姿なのだ。昔の人間共もさして変わりはしなかったと記憶しているが……なるほど、便利さを追求した結果か。自然に反して歪だが、その方が貴様等は過ごしやすいのだろう?我らと違って星を夜道の標にする事も占星術に用いる事も無いのだから、その方が合理的だと言える。……俺はそんな場所で暮らすのは御免だがな
(見えている方が当たり前なのだと言いきり、少し前の人里を思い返せば月明かりの下での活動や、灯りの少ない夜はどこも寝静まっている光景を思い出すも、相手の話を聞き、外灯がそこかしこに立ち並び、夜も眠らず飲み食いする人々の声が聞こえる町を想像しては、なんやかんや言いつつ自分には到底無理だと個人的な感想を述べ。「……は?……あぁ、そう言えば何か重たい物が落ちる音がしたな、あれは貴様か」一度後方の崖に視線を向け、次に相手に戻せば事態を理解するのに時間が掛かり、一瞬動きを止めては心底あきれたようにぽかんと口を開き。しかし直ぐ様気を取り直せば、鈍い音と人の声に反応して自分は近づいた事を思いだし、合点がいったと頷き。よく見ればズボンの裾から覗く右足首にやや腫れや変色が起きている事に漸く気付き。「夜に、しかもよく知りもしない森の中なんぞ歩くからだ、ドジめ、自業自得だ。これに懲りたら無闇に森に出歩かない事だな。──しかし、これでは吹っ飛ばせないでは無いか。治癒も魔力に耐性の無い人間のガキに使うのは危険か……チッ、面倒臭い」相手がその場から動けない事を良いことに愚痴愚痴と文句を並べ、言った所で効果が薄いと分かっていても言わずにはいられないと、忠告の言葉も付け加え。相手を森から何とか追い返せないものかと頭を働かせるも、この前のような、歩くのに例え時間が掛かろうが他の人間に見つかるような場所に送る手も夜では使いにくく、治癒魔法も人間相手に急速に傷に魔力を注ぎ回復させる手段はむしろ体に害を与えてしまい、軽い怪我ならば魔法で事足りる為薬は持ち合わせておらず、また自分の腰にある薬草は別の事に使いたいと自問自答し。「はぁ……おい、食事を止め今直ぐ薬を取ってこい」ややして深いため息をついては、後ろを振り返り。虫の声がやけに響いていた辺りに命じるように声を飛ばせば、立ったまま近くの木に寄りかかり、瞳を閉じては使い魔の帰りを待つ姿勢に入り)
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