東 恭弥 2017-07-12 00:49:21 |
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――……嫌いじゃない。
(大した抵抗も無くあっさりと相手の体が離れるもそれでさえ苛立ちに変わり、やはり先程の光景が何度も脳裏に蘇ってきて。目元に手の甲を宛がって必死に落ち着こうとしてみても相手の言葉すら殆ど耳に入らず、ただ頭の中で渦巻く醜い感情に自己嫌悪と相手への怒りを募らせていて。意識を不意に現実に引き戻したのは肩に掛かる僅かな重みと、落ち着きと同時に胸の高鳴りを感じさせる相手の匂い、それからいつに無く弱々しい相手の声で。それまで取り乱していた事が嘘のように心は鎮まり、小さく息を吐き出すと相手の頭に手を遣って髪を優しく撫でながら短く答え)
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