躑躅 2017-07-01 16:50:17 |
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「ほうほう、そして我が家の天才はどんな事を思い付いたと言うんだい?父様に教えておくれ?」
息子の話す口調にクスクスと可笑しげに笑うでも無く、かといって真剣な表情をするでも無く、ジョージはおどけた様に同じ言葉で聞き返す。
『僕も一緒に行けば良いんだよ!ほら、素敵な思い付きでしょ?やっぱり僕は天才さ!』
自分が、さも素晴らしい発明をして見せたかの様に自慢気に胸を張る息子をジョージは目を丸くして口をあんぐりと開け見つめていた。
『父様?父様ってば!僕も行くの、父様だって一緒なら寂しくなんか無いでしょう?』
子供目からは奇っ怪で可笑しく見える父を揺すり、先程とは180度違う子供らしい我儘にねだる様な口調で続ける。
息子に揺すられ、数回の瞬きと共に苦笑いの様な複雑な笑みを浮かべアルトの頭にそっと手を置いた。
「一緒か…そうだね、いつか一緒に行けると良いな。」
優しく、けれど確かな拒絶を言葉の内に潜め頭を撫でる。お決まりの様にぷくっと頬を膨らませる息子に眉を下げて見つめるも、突然の来訪者にアルトのお願いは遮られた。
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