雪月桜 2017-06-18 01:44:33 |
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「………っ、…ここ、どこ、だ…?」
微かに意識を取り戻した卯月の瞳には、知らない景色が写る。
見たところ室内のようだが、ライトブラウンの木製の壁や天井、床に敷かれた大きめの白いラグマット、その側に置かれた黒い布製の一人掛けソファとガラステーブル、どれも卯月の知らない物ばかりだ。
「っ、…痛っ」
身体を起こそうとすると、右肩と左足に鋭い痛みが走る。
(あぁ、そうか。俺、あの男と戦って、返り討ちにあったんだったな)
男から逃げようとして、失敗して足を撃たれて、それから変な首輪みたいなリングを首につけられて、そのあと……よく思い出せない。
卯月は記憶を辿るよう、意識を取り戻していく。
「何か凄い痛い目にあった気はするんだけど、よくわかんないな…」
部屋の中に窓はなく、出入口は斜め右側端にあるドア一つ。
状況の理解が出来ない卯月は、左手で自身の首に触れてみる。
触れた指先に伝わったのは暖かい肌の温もりだけではなく、体温の移った金属質の堅い感触もあり、先ほどの出来事が夢ではない事を思い知らせた。
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