雪月桜 2017-06-18 01:44:33 |
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だが今の卯月にとっては男の手際の良さも、自身の怪我の痛みや流れ出る血液も、目の前の男に逆らえる立場じゃない事もどうでもよかった。
大事なのは首輪を解除する方法だけと、卯月は焦りを表すように怒鳴る。
「教えろって言ってんだよ!こんな危ない物…、さっさと外せ!」
強引に外す事の危険性を理解した卯月は、首輪に触れていた手を離し、かわりに男に向かって威嚇するように聞く。
だがそんな卯月の威嚇も、男の瞳には子猫の威嚇にしか写らない。
「せっかくつけてあげたのに、外したらもったいないでしょう?よく似合ってるよ子猫ちゃん。でも躾は始めが肝心だよね」
男は楽しげに言葉を綴りながら、シャツの左ポケットからだした小さな機械を取り出した。
それを左手で持つと、機械についていた小さなスイッチらしき物を、左中指で軽く押した。
「っぁあぁゃ、ゃめっ、ぅぁああぁ!!」
男がスイッチに触れた瞬間、卯月の首につけられたリングに、高圧な電気が流れた。
男が電気を流したのは僅か五秒前後。
だが、それだけで主導権がどちらにあるか思い知らされるには、はっきりと理解出来た。
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