雪月桜 2017-06-18 01:44:33 |
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男の指先が引き金を絞り、次の瞬間銃声が響いた。
乾いた音と銃口から香る、火薬の香り。
だが、卯月の体にさらなる痛みはなかった。
訳がわからず辺りを見回すと、卯月の右隣後方に熱を帯びた銃弾が転がっていた。
おそらくわざと外したのだろう。
「…何のつもりだ、俺の息の根を止めるんじゃなかったのか?」
意味のわからない男の行動に、卯月は苛立ちを見せる。
威嚇でもするかのような卯月の態度を見つめ、男は先ほどと同じポケットから金属製の首輪のようなリングを取り出した。
「動いたら、今度こそ終わりにするから」
卯月の耳元でそう囁くと、男はそのリングを卯月の首につける。
「痛っ…、なに…?」
(何だこれ、首輪か?しかもなんか一瞬痛みがあったぞ)
リングを装着し終える瞬間、項のあたりに針に刺されたような鋭い痛みがあった。
だがそれは一瞬の事で、どうやら針ではないようだ。
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