雪月桜 2017-06-18 01:44:33 |
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「別にいいけど、俺の授業料は高いよ」
微笑を浮かべ卯月を見つめる男の表情は、穏やかな笑みの裏に深い闇が見えた。
もう不意うちは通用しない。
それにこの男、卯月の予想していた以上に強い。
「どうしたの?来ないなら俺から教えにいこうか?」
残り僅かになった煙草を地面に捨て踏み消すと、男は冷笑とともに素早く卯月に近づいた。
強すぎる警戒心は時に反応を鈍らせる。
僅かな隙を与えてしまった卯月は、男の持つナイフを避けきれなかった。
本来の狙いであろう、首の頸動脈への攻撃だけは避けられたが、代わりに右肩を切りつけられてしまったようだ。
焼け付くような鋭い痛みは、それが軽傷ではない証拠だろう。
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