21443 2017-06-10 02:07:13 |
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意地悪、言わないで。
…好き、好き。ルッツ、好きだよ。
(近い距離、ぞわぞわとする指の感触が首筋に這うが、打ち消すように肉に牙が埋まる甘い感覚が痺れるような血と共に身体の意思を奪っていく。痛いのは好き、けれど別に不特定多数相手にじゃない、この餌相手だけだ。喉を流れていく美酒のような血に酔いながらも、相手の顔が見えないのが残念で、ふと目線を客席に移せば何人かがまるで飢えた獣のような目でルートヴィヒを見ているのが目に入った。気に食わない、そう思った。牙を浅い位置まで引き抜いては、ルートヴィヒの身体を更に引き寄せてルートヴィヒを隠すように身を寄せて、傷から流れる血の一滴も客席には見せないように、そんな幼い独占欲を満たすように何度も「好き」だと告げて。どうせなら此処で吸い尽くしてしまおうか、そうしたら…なんてことを思ってしまったからか、気がつけば無意識にまた牙を深くまで刺してしまって)
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