チェシャ猫 2017-06-07 23:59:21 |
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〜ッ!、(フライパンの中の様子を窺うべく顔近づけようとしたところ、油がはねてくるより先に蓋に阻まれて。状況把握出来ず肩を上げたまま蓋と彼の横顔と視線往復させていたが、パチパチと油が弾ける音が蓋の向こうから耳に届けば彼がしてくれた行為、最後まで見守ってくれていた優しさがじわじわと心に沁みてくる。何故か記憶があやふやで父親の顔さえ今はハッキリ思い出せないが、自由奔走な己に手を焼きつつも彼の様に陰ながら見守っていてくれた筈で、ぼんやりと彼に父の面影重ねては思わず其の大きな背中に抱きつきながら「ん、平気。ありがと」無事を知らせギュウ、と抱き締める腕に力を入れ。胸の奥から込み上げてくる様々な思いが涙となって零れ落ちる前に、顔を押し付けていたレザージャケットへ顔を数回擦りつけるとゆっくりと手を離し。気さくに笑う彼の横に此方も同種の笑みを浮かべて並べば撫でられる手の動きを心地好さそうに甘受したあと、当初の目的であった“報酬”よりも“優しさ”という目に目は見えない大切なモノに触れたことで心境が変わったらしく「うっし。楽しみィ!…あの、さァ、俺こんなんだけどまた手伝いに来ても良い?ちゃんと手伝えるようになるまでお金要らないからサ」改めて気持ち伝え。右から左から忙しなくフライパンを覗き込む様子は料理の完成を心待ちにしている様にも見えるが、実際は彼からの返事が気になってそわそわする気持ちを紛らわす為の行動であり)
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