赤の王 2017-06-04 16:26:15 |
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>ユニコーン
そっかあ……
( 遊びに行ってたよ。けろりとそう告げる男を驚いたような顔で見て、生返事をする。遊びに行っていられるほどの時間が経過しているという事実を突きつけられて、嫌な汗がこめかみを伝った。きょろりと顔の向きを変えた相手につられて目線を動かすと、そこにあったのは壁掛けの時計。ぐっと眉間にしわを寄せて時間を認識するより前に、横からかけられたからかうような言葉に思考は停止した。ごくりと唾をのんで、瞬きをする。短針は2を指していた。―――夕方過ぎに出かけて、約半日も寝ていたのか?想像していた嫌な予感が、当たっていたと暗に告げられて頭を抱える。「うっそ……ほんとごめん」苦々しい表情でまた謝罪を口にして、両手で顔を覆うと溜め息を吐く。笑って済ませてくれた寛容な部屋の主に対し申し訳なさとありがたさがないまぜになっていて、まず何と言っていいものかわからないんだけど、とにかく、笑いごとでないことだけは確かだった。まだ本調子じゃないのかな、で済ませていた妙な眠気もここまでくると異常だ。眠りに落ちるタイミングを自分でコントロールすることができないのはただ本能的に恐ろしい。眠っている時間も以前より伸びている気がして、言いようのない恐怖にじわじわと侵食されるような心地がした。顔を覆っていた手を下ろす。へらへらと不器用に笑っては、「俺どうしようもないなあ……迷惑かけたな」なんて言って。 )
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