21402 2017-06-04 13:01:53 |
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(見慣れた顔、といってもずっと遠目に見続けてきたその顔が興味津々にこちらを眺めてくると視線から逃れるように目を逸らすが、相手がぽろりと零した言葉は生まれて初めて耳にするもので。べっぴん、の意味を理解すると濡れた頬もじわりと熱を帯び「――じ、人外の者に世辞を言って何になりましょう…」呟いた言葉も迫力なく震えてしまい。すぅっと呼吸を整え心を静めてから、名を明かした相手のほうへゆっくり向き直り「…名は汐音と申します。この尾の通り人ならざるもの、この海に住まう人魚ですが…お前様方人間に仇為すことは致しませぬ。どうか…捕らえないでくださいませ」乾いて痛む尻尾をひら、と揺らして見せながら精一杯の声で懇願し)
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