_ 2017-06-01 20:40:52 |
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憂鬱な神無月の空。目に映るのは枯れ葉が風に乗って舞う校庭、師走もまだだというのに忙しなく歩く人達。そんな人達とは打って変わって何をするわけでもなく教室の窓際で無心で黒板を見つめる自分はさぞかし場違いだろう。
姫宮桃花は特に頭も良いわけでもなく悪いわけでもない至って平凡な女子中学生だ。特技や好きなものが特にあるわけでもなく自分の意見など持ったことがない。只々、周りに流され続けた。
姫宮桃花は中学三年生だ、そして今は神無月。周りの生徒達と同じように忙しなく動いていなければいけないというのに何もしていない。今のレベルにあった普通の高校に行こう、無理にレベルを上げようとして勉強するのも面倒くさい。
姫宮桃花は友人がいる。今廊下から此方の教室を覗く2人がそうだ。1人は金色の髪を靡かせた黄瀬向日葵、明るく人懐っこい大きなわんちゃんみたいな子。もう一人は欠伸をして来だるげに顔を覗かせる皐月翠、ふわふわした口調と同じ様にふわふわした行動所謂マイペースな行動が多い彼女は1年生の頃に親子丼を当時の生徒会長にぶん投げるという偉業を成し遂げた事を姫宮桃花は忘れていない。
どうしたのだろうか、此方を手招きする2人は瞳の奥の方で早く早く、と急かしているような気がする。あと心なしかわくわくとしてる。なんだか不穏な空気を察知した。
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