苺ミルクコーヒー 2017-05-27 22:10:36 |
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【転】-発見とお迎え-
一方、バッコスが人間界に行く途中、馬車から転落したことは神々の間に知れ渡っていた。そして、事故を知った神々は、荒廃した野蛮な世界に落ちたバッコスは、もう生きていないだろうと思っていた。人間がバッコスを助けるなんてありえない、と考えたのである。
しかし、ヘルメスだけはバッコスのことを諦められず、彼のことを探し続けていた。そして、遂にバッコスらしき青年が孤児院にいるのを見掛けたのである。だが、バッコスは記憶を失っている様子だった。さらに、ヘルメスにとって予想外だったのは、記憶喪失になってしまったらしいバッコスが幸せそうに過ごしていることであった。
そこで「人間界にもまだ希望があるのではないか」と疑問を持ったヘルメスは、オリュンポス山に戻ると「バッコスは生きていた。今、人間界に攻め込んだら、彼を巻き添えにしてしまう。迎えに行こう」と他の神々を説得した。
神々は、人間界に攻めこむ予定日の前日になってようやく、ヘルメスの説得に応じ、皆で人間界に降り立った。しかし、彼等が見た人間界はやっぱり汚れていて、救いのなさそうな世界であった。
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