「冷酷無慈悲な英雄」として有名なその男は、【青髭】と呼ばれていた。
それまで何度も美しい貴族の娘を娶っていながら、彼の妻たちはことごとく行方不明となっている。
青髭の館の執事や女中たちは、嗜虐癖を隠さぬ青髭が拷問の末に殺したに違いないと囁いていた。
──そしてまた、青髭の元に嫁いでいく美しい娘がひとり。
彼女の優しい献身にもかかわらず、青髭は何故か彼女の愛を頑なに信じようとしない。
それどころか牙を剥き、残酷な毒の言葉を吐くばかり。
だがある日、国王に呼び出されて館を空けなければならなくなった青髭は、仕方なく館中の扉の鍵束を彼女に渡し、そのときひとつの約束を取りつけた。
「金の鍵の小部屋にだけは、絶対に立ち入るな」
──それは、愛を信じぬ青髭が、本当は彼女の愛を信じたいがために零した、切なる願いだった。
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