菫色 2017-04-24 23:48:52 |
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其の声はぬしさまでは御座いませぬか。 … あゝ、この小狐丸、其の声が此方へ向けられるのを幾らもを待ったか。勿論ぬしさまの誘いを断る無粋な刀では在りませぬ。 さゝ、冷えぬ様小狐丸の懐へお入り下さい。…人の身を得た此の体温を、ぬしさまだけに感じて頂きたい 。
( すん、と鼻をすます。香るのは確かに己が恋い焦がれる程に求めた者の淡い香り。足音と共に月光の中揺らぐ影すら愛おしく、こくりと唾を一つ呑み下す。溢れる感情を嚙み潰し襖を緩慢に開けば、幾分か己より小さい少女。自然とは云えぬ黒髪は漆黒に紛れ、彼女の肌を浮き彫りに。唇を緩めた侭彼女へ手を伸ばし、頬を撫ぜてゆるり頷けば上記を。 )
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