長老 2017-03-31 19:23:30 |
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…気にすることじゃない、その内思い出せる
( ぽつり、自分に言い聞かせるようにそう呟いては、少しの焦燥を振り払うように彼の後を追い。背を見失わないよう気を付けながらも、視線はきょろきょろと落ち着かず。満開の桜はとても新鮮に見え、素直にすごいと感じた。自分の前を行く彼は、いつも通りの飄々とした足取りを崩さず目的地が決まっているかのように進んでいく。実際決まっているのだろうけど、この島に来たばかりの自分では推測することさえ叶わず、ただ黙々と付いていくしかない。ぼんやりと桜並木を眺めながら、あっかんべー、なんて子供じみたことをやってのけた先程の彼を思い出し思わず小さな笑い声が溢れる。大分柔らかくなった表情はそのままに、見失っていないか確認するため戻した目の先では、いつの間にか彼が立ち止まってこちらを見ていた。思わずギクリと体が揺れ、豆鉄砲を食らった鳩の気持ちを一瞬にして理解する。周りに集中していたせいで彼が立ち止まった理由が分からず、何かあったのかと不思議に思い「どうした、急に止まったりなんかして。腹でも壊したか?」と、微かに首を傾けて )
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