フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(運ばれてきたカップはこれまた精巧な絵柄が目を惹く一品。繊細なカップを壊さぬ様、性格とは裏腹に優美な仕草で取っ手を持ち、鼻先まで運ぶ。す、と漂ってくる香りは仄かに甘く。其れだけで気持ちが落ち着くから不思議なもので。僅かばかりの動きでもカップの中では湯気を立てながら波紋が広がり。フラミンゴが好むもの、と知れば愛しさが湧くから現金である。口を付け、豊かな風味を舌で味わって。「ほんまや!ほんのりチョコレートっぽい!このお茶っ葉って何処に売ってるのん?」見た目は普通の紅茶であるのに、チョコレートの風味を感じられるのが驚きであり、未知なるものへの好奇心で瞳は煌めく。いつか働いたお金でこの紅茶を買って帰れば彼は喜んでくれるだろうか、と脳裏に桃色の彼を思い出しては然りげ無く情報収集を開始し。多種多様な帽子が紹介されては、自分の想像を遥かに突き抜けるセンスの良い色選びや洒落た小物使いに瞠目するばかり。”凄い凄い!”と幼子の様に同じ単語を繰り返しては、盛大に掌を打ち合わせパチパチと。普段帽子など被らぬ身、ストンと少しの重みを頭に感じては妙にソワソワと落ち着かない気持ちになる。頭上で器用に動く指先は最早達人技、間近で見たいものの動いては駄目だ、と自制心働かせ目だけをキョロキョロとあっちへこっちへと彼の指を追う様に動き。軈てアレンジが終了したのか、目の前の鏡に映し出されたのはハットだけでも優雅な曲線を描き素晴らしい出来であるが、更にアクセントを加える様に付け足されたレース素材がよりハットの魅力を引き出している。そっと花の形を崩さぬ様、指先をレースへ這わせ。「…めっちゃ、キレー…!」ほう、と感嘆の吐息を一つ。語彙力が少ない事に悔しい思いをしたのはこの時ほどない。ただただ綺麗、と馬鹿みたいに呟くしか出来ず)
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