フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
通報 |
(室内に反響する笑い声は明るく、こちらまで楽しい気持ちになるから不思議なもので。ゆるゆる緩んだ頬はそのまま、大人しく頭を撫で受ける。キラキラ光る髪の毛も、弾けたような笑みもまるで彼がそこに居るだけで暖かくなるから太陽のようだ、と胸中で思い。そうなるともう早、癖になった渾名をつける行為に続くわけで。日向のような彼、安直に閃いたニックネームは”ひなちゃん”。「任せてェや!ふーちゃん連れ出すんは得意やねん。それに”ひなちゃん”の作る服とかめっちゃ好きやから、喜んで来るわァ」思い出すのはこの仕事の話を紹介する際に、珍しく煌めいていた金の瞳。少しばかり其れに嫉妬したのはここだけの秘密で。案内されたアトリエを不躾にならぬ程度に見回しては、色とりどりの布、作りかけの帽子に、トルソーに着せられた個性的な衣装が目立つ。ほんの少しだが、今窺い見ただけでもワクワクと逸る気持ちは抑えられず、フラミンゴが楽しげに語っていたのも分かるというもの。些細な嫉妬など既に消えて。「せやろ、ふーちゃんの愛の大きさが分かるやろ?」くすくす、と喜びから洩れる笑いは止まらず、漸く自慢出来た事も相俟って、より彼に見てもらおうと掲げ持った桃色の一房をぐいぐいと顔に近付け。促された言葉には”はーい、紅茶楽しみやわァ”と良い子ちゃんの返事を返し、机の上や床の上に広がる衣装や布を汚さぬよう、少し離れた位置に置かれている椅子へ腰を落とし。「今はどんなん作ってるのん?」キョロキョロ視線をあっちやこっちへ忙しなく動かしては、子供らしい好奇心が顔を覗かせて)
トピック検索 |