フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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>フラミンゴ
(数秒だったのか、数分、それとも数十分も経ったのか曖昧な時間。ドキドキと緊張と不安が入り混じった、何とも居心地の悪い空間は背に回された腕と髪に触れる感触で柔らかな物へと変貌する。「せやもん。だって俺、ふーちゃん専用やから、しゃーないもん」彼の言葉を全肯定するような台詞を被せ、うりうりと肩口に額を摩りつけ。視線を上げた先の微笑みは今迄で一番優しく、胸の奥に響くもの。くしゃりとくちゃくちゃに顔を崩し、泣き笑いの表情を浮かべては”大好き”ともう一度彼の耳元で、彼にしか聞こえぬ声量で精一杯の気持ちを伝えて。羽搏きと、葉っぱのざわざわと騒ぐ音に同じく目を上げ、青空に力強く飛び立つ鳥の姿を見送り。願ってもない展開、望むところだと言わんばかりに勝気に口角を上げては、首元に回していた腕を解き、彼の両頬を己の手で包めば、コツンと額と額を突き合わせる。「ふーちゃんかて、後悔しても遅いねんからなァ。朝も昼も夜のご飯も一緒に食べたいし、週に何回かはこうやってふーちゃんと二人で外にも行きたい。そんから、夜も放ったらかしにせんといて」仕事をしているのは重々承知、だが我慢出来るほど聞き分けの良い大人にもなれず。一つ我儘が口をついては、最早止める術を知らぬかのようにポツポツと溢れる願望。言葉ばかりは強気な姿勢だが、見詰める視線には如実に嫌われたくない気持ちが現れ、ふるりと瞳孔は細かに揺れている。一緒にレジまで着いて行き、カラフルな菓子類の中に己が選んだピンクの菓子を見付けてはニマニマと緩む頬。差し出された袋にも断る理由などなく、いそいそと受け取っては時折袋に入ったお菓子を見下ろして瞳輝かせ。「ホンマ?めっちゃお腹空いてたねん」彼と違い朝早くから起き、無駄に体を動かしていたため、既にぐぅとお腹は空腹を訴えており。連れて行かれるままレストランへ足を運び。店内の雰囲気や装飾に興味は惹かれ落ち着かなげにソワソワしては、ハートのトランプをモチーフにしたテーブルを見付け、あそこに座りたい、と恥ずかしげもなく指先を向けて)
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