フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(既にこの国に置いた役職に生きる生活が全てで有り、それは己だけではなく住人も女王陛下ですら漏れなく有ったかも知れない本来の存在意義を既に記憶から消してしまっている。探り探りと語られる情報とは今まで聞こうともしていなかった事実であり、聞こうともしなかったと言う事はそれほどまでに過去を蔑にしていた証明で。口下手じゃなければ今よりも上手に説明が出来たかもしれないし、彼をこんな風に傷つける事も無かったかもしれない。重なるもしもに向き合う勇気が無く、臆病にも目を背けて。荷物を手首に掛けて差し出されたその手を握り、速やかに支払いを済ませれば握るその手を引いて店を後にして。__何か言葉を掛けてやらなければ、と気持ちばかりが逸る中で何が今送るに相応しいかが見つからず喉まで通りかかる言の葉は再び奥へと押し戻る。景色ばかりが次々と揺らめくのを視界の隅っこで捉えつつ「___綿菓子、帰りてぇ?」繋ぐ手をクイと僅かな力で引いてから、本来であれば伝えたくないその言葉を。もしも彼が帰りたいと述べた所で既に特別と思ってしまった彼を手放せるのか、それはきっと難しい事。心の内の天秤に、己の幸せと彼が幸せになることを掛けたうえで躊躇いつつも「もし、帰りたいなら。おめぇ、未だ名前を憶えてっから……女王陛下に頼んでやるヨ」顔を見ては絶対に言えないその言葉を顔を背けつつ続け、数秒か数分を永久にも思える気持ちで黙りこくり)
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