フラミンゴ 2017-03-30 08:35:20 |
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(つらつらと述べられる内容は今迄見向きもしなかったこの世界の現状。此処にきて漸く無知である事がどれ程罪なのか、痛感したような心地で。背筋をヒヤリと悪寒が走る。このクニに来て楽しい事ばかりで、あまり以前の事を思い出すこともなかった。ふ、と記憶を探る様に瞑想の世界に耽ってみるも、所々靄がかかっている気がして仕方なく。「俺ん名前は…、イ・テファン。確か弟と妹が一人ずつ居ってん。三人共悪餓鬼やってよう言われとって…でも、彼奴ら今…、今…?」ゆっくりと綴り出した自身のプロフィール。此処に来る前に別れた、たった二人の家族は果たしてどうしたのか。何処に住んでいたのか、どうやって生きてきたのか、その部分が曖昧で不意に詰まる言葉。はっと、片手を口許に当て驚きに見開いた瞳はユラユラと焦点を結ぶ事が難しく。頭に触れた温もりだけが、今の現実。呼ばれるままに頼りなげに頭を持ち上げ、視線を向ける先は唯一このクニで無条件に信頼出来る人物。心の奥底では欠如していく記憶の存在に気付いていたのか、だから過剰に目の前の彼が消えてしまうという話に反応してしまったのかもしれず。だからと言ってどうする事も出来ない。再度項垂れ、促されるままに席を立って店を後にしようと。「…うん、早よ帰りたい」折角お気に入りの場所を紹介してくれた彼には悪いが、楽しむ気持ちにはなれず。大人しく手を差し出しては握ってくれるのを待って)
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