(銀之丞) 2017-03-11 19:08:45 |
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――…ほんに主様と言ったら…、嘘をおつきなんし、
( 視界に彼の足元が入ると近くに居るのだと認識し、初めて面を上げてみせ。己が面を上げた時、双眸に映る彼の顔が卑しい笑みに満ちていたならば直ぐ様此の場から追い出してやろうという魂胆であったのだが、あっさりと其れは覆され。先ず飛び込んで来たのは美しく澄み渡った蒼、そして一切の穢れがない穏やかな笑みを湛える優しい顔。今一度驚きの余り身体全体が硬直するも、彼の形の良い唇が綺麗だと言葉を紡げば花魁としての笑顔を瞬時に浮かべ軽くいなして。紅、と呼ぶ声音も矢張り優しく到底身体が目的の客とは思えない眼前の彼は更に追い打ちを掛けるように言葉を淡々と紡ぎ。労りの言葉と幾ら最上位に位置する花魁と言えど遊女に分類される自分に遊女としての仕事を放棄しても良い、と言った彼は筆を持ち何やら紙に向かっている。戸惑いを隠し切れず「 そげな事言いんして、ほんにはわっちの身体が目的なんでありんしょう? 」そう告げるも言葉に刺々しさは無く唯只管動揺しているようで表情は年相応の幼い物になり。 )
( / いえ、私も前遅れて仕舞いましたし、お気になさらないで下さい! )
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