〆 干物生活

んー
じゃあ６時半くらい？
（スマホの目覚ましを６時にセットして）
起きれるとは思ってない
（えっ、今さら？と言わんばかりに）

うわあ、失礼しちゃう
（聞こえた声に苦笑を漏らしつつ、まあそうだよなあと納得したようにスマホの画面を閉じて。ひらりと手を振りつつ水瀬にへにゃりと微笑みかけては）
明日もよろしく、おやすみ、水瀬

うん、おやすみ、ハル
（手をひらひらと振り返して寝室へと見送って
小さくあくびをすると部屋の片隅から原稿用紙の束と分厚い参考文献を引っ張り出して）
眠くなるまでやるか
（ひとり言を呟くとテーブルに向かって原稿を書いては消し、うーんと言い回しに迷い、消しては書き少しずつ紙面を埋めていって）

・・・
（かすかに聞こえる小鳥のさえずりでふと目が覚めて）
やべ、寝ちゃった
（気がつくと原稿用紙の上に突っ伏して眠っていて、原稿用紙にはよだれが乾いた跡がついていて
書き直しだなぁと考えながらリビングの壁掛け時計に目をやると５時半を少し回ったところで
イスから立ち上がりぐぐーっと背伸びをするとキッチンに向かって）

・・・
（寝室のドアをノックして声をかける）
ハル、そろそろ時間だぞ、起きろ

…あと五分、駄目？
（朝、だと思われるが残念ながら自身の目はしっかりと瞼が閉ざされたまま、扉越しに聞こえた同居人の声にテンプレートの言葉を返してはごろごろとベッドの上で駄々をこね。ふっと思い出した様に両目を開けては）
水瀬、今のセリフめっちゃゲームの主人公っぽくなかった？あと五分って、凄いテンプレ

そんなバカなことを考えている間に５分なんて過ぎてしまうぞ
おめかしとやらができなくていいなら３０分後に起こしにくるよ
（嬉しそうにゲームの主人公気分を味わっているハルにそっけない返事をして、ドアの前でＵターンをしてキッチンに戻って）

起きる…起きる…寒い
（言われた言葉は至極最もであり、のそりと起き上がると適当な上着を引っ掛け自室を出てはのしのそと水瀬の後ろへと刷り込みのようについていって。それから特に何をするわけでもないのに何故か水瀬の横に立っては寝惚けているのか欠伸をしながら）
おはよう、水瀬、寒い

おはよう、ハル
オイルヒーターは温まるのに時間がかかるからな
ヨーグルト、いる？
（トースターに食パンを放り込んでタイマーを回して
電気ケトルのお湯が沸いて）

ん…今度電気ヒーターも買おう
ヨーグルトも食べる
（トースターに放り込まれたパンを眺めながらぽつりと散財計画を呟いては、再度欠伸を噛み殺しつつ視界の端でひよひよとしていた前髪の寝癖を指先で弾き。何かに気がついたように水瀬を見つめては）
あ、朝起こしてくれてありがとう。
目覚まし時計として私のところに永久就職したらいいよ

今のままで十分だと思うけど
ま、いいけどさ
あいよ～
（興味なさげに適当に相槌をうって
サラダボウルにヨーグルトを２人分入れてマンゴーソースをちゅ～）
ハル、ヨーグルト持っていって
（隣で寝ぼけているハルにお願いをして、コーヒーカップにお湯を注いでいると唐突に起こしたお礼とそれに続くセリフを聞いて
コーヒーカップからお湯が溢れてキッチン台から黒い液体が床に垂れて）
あ、ちちっ！

ヨーグルト、ヨーグルト…あ
（寝ぼけ眼でヨーグルトの器を持ち、いつものテーブルに運ぼうと鼻歌交じりに動いた時に聞こえた声。振り返ってみれば床に広がるこげ茶色に小さく声を漏らすと足早にヨーグルトをテーブルに置いては戻ってきて近くの布巾を手に取ると床にしゃがみ、布巾に液体を吸わせながら）
水瀬、大丈夫？火傷してない？してたら今すぐ冷やしてね、

あ、悪いっ
少しかかったけれど大丈夫、たいしたことない
（言いながら布巾を絞って台の上を拭いて）
・・・あれ、なんか臭う
あっ、トースト！
（慌ててトースターを開けると黒い煙が上がって）
あーあ・・・
炭になっちゃった
（黒いかたまりを手に苦笑い浮かべて）

火傷してないなら良かった…けど朝ごはんが炭かあ。珍しいミスだね、凡ミス
（すっかり覚めた目、焦げ臭い匂いと焦げたパンを見れば笑いながらスマホのカメラで何気なく撮り。喉の奥で笑いながらスマホを再度ポケットにしまっては）
まあ、ヨーグルトあるし良いか。コーヒー入れ直して朝ご飯食べよ

と、撮るなよー
（失敗の恥ずかしさに赤面して、カメラを避けるように１歩身を引いて
それからコーヒーを入れ直して食卓に運んで）
ジャムトースト言ってたのに、悪いな
それにバタバタさせたし
時間、大丈夫？
（ばつが悪そうな様子で）

ん、早起きしたから時間は平気。いやあ、珍しいイベントだった…ストーリー回収難しそうなものを回収したわ
（鼻歌交じりに椅子に座りに向かうとスマホを眺めてはにやにやとして。水瀬を見やるとへらりと笑って見せては置かれたコーヒーに手を伸ばし、喉の奥でくつくつと笑いながらカップに口をつけると）
水瀬、今日のヘアアレンジやってよ。可愛くしてね、その間に私メイクちょっぱやで片すから…そうしたら時間ちょうど良さそう

ハル、笑いすぎ
行儀悪いし
（あまりのいたたまれなさに耐えかねて、ヨーグルトを口に運ぶ手を止めて抗議を行って）
髪？
あんまり時間ないし簡単にしかできないよ？
それでもいいのか？
（言いながら、さてどういじってやろうかと考え始めて）

面白くてついね
うん、私も時間浮くから助かるしね
（コーヒーを飲んでは上記を言い、自身もヨーグルトに手をつけつつ時計を見やり。服装はなんとなく決まっているし、あとは化粧をして髪の毛をやって、ついでにログボだけ貰ってしまおうなどと考えては手を合わせ）
うん、ヨーグルト美味しかったし満足満足。ごちそうさま

あ、ひっでー
（自らの失敗で笑いのネタを与えてしまったことを果てしなく後悔して）
分かった
じゃあさっさと着替えてね
（コーヒーを飲み干すとふたり分の食器をまとめて流しに持っていってさっと洗って、着替えが済むのを待って）

あ、お皿ありがとう
はいはい…着替えるのも面倒だから任せたい欲あるけど、流石にね
（椅子から立ち上がり水瀬の言葉に冗談なのか本気なのか言葉を返せば自室へと消えて。いつものスーツ、中のブラウスだけはいつもよりも少しだけ華美なものにして珍しくピアスもつけて。鏡とメイク道具を抱えて再度リビングに戻れば椅子に腰掛けつつ）
どうよ、干物のカモフラージュ、パーペキでしょ

ありきたりな感想をいえば馬子にも衣装、ってヤツだな
（無感動にさらっとひどい一言を口にするとブラシを持ってハルの後ろに立ち、髪をさっと梳かしてからクリームを塗ってまとめていって）
手入れをおざなりにしてる割には髪、きれいだよな
もう少し気を使ったらもっときれいになるのに
（髪をいじりながらもったいないな、と思って）

酷いなあ
お風呂の時間あったらゲームに回したい欲凄いからね、御手入れとか時間食うし
（笑いながらも纏めて貰っているために大人しくすればメイク道具を取り出し鏡を立てて、黙々と下地やら何やらを済ませていけば、いつも通り干物ではない余所行きの姿。ため息混じりに目を閉じれば）
ああー仕事は別にデイリー課題こなすようなものだから良いけど特別イベントいらないな…