執事 2017-02-18 14:33:12 |
通報 |
其れは、私が一番よく知っています。
( 子供でいてくれたのなら、どれだけ楽だったか。こんな思いを抱かずに済んだのに。美しさに魅入っておきながら、裏腹に其の美しさを疎ましくをも思い、只の主人に対する気持ちでは済ませられない一線迄到達してしまった、この想いを何処にぶつけたら良いのだろうか。答えが出る筈も無く、苦虫を噛んだ様な表情を晒せば、ずるずると視線を下方へ落とし。「 いえ?大きく変わりました。お嬢様の成長と共に、私も、大きく変わったんです。もう、此処にはセレナ様が想い描く私は居ないでしょう。 」一言、一言、言葉を選びながら、且つ強い口調で返していく。此れでも尚、心迄も美しい彼女は己の事を変わらず執事として慕ってくれるだろう。そう思えば、不思議と惨めな気分に陥り、もう全て壊してしまいたい気もして。そんな些細な気の狂いが、口元に伸びてきた細い指を口内に引き込みカリっと柔く歯を立てる、という行為へと繋がってしまい。 )
トピック検索 |