赤の女王 2017-02-13 17:46:29 |
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>帽子屋
あなただから、こんな事を言うんだよ。
(矢張り軽くあしらわれているその感覚が、もどかしくも生温い空気に溶けて優しく心に広がり。嫌な気持ちや悔しい気持ちにならないのは、彼の人柄のおかげだろう。「勿論。数居るアリスの中で私を忘れられないようにしなければ」上手く約束を取り付けられたという嬉しさで緩む頬を誤魔化すために、冗句を加えた笑みを見せ頷いて。示され視線を向けた屋敷は想像よりも大分大きく。城ならその在り方やそこで忙しく働いていたメイドや兵達の数などを思えば当然の広さだったと思うが、兎や鼠の居候が居るだけの家だとはとても考えられないその屋敷の広さには思わず息を呑み。「驚いたな……この世界は、こんなに大きな屋敷が平気で建てられるのかい?」庭へ案内される間にも至る所へ視線を巡らせ、目的の場所へ辿り着くと既に用意されている茶会のセットに驚きは増すばかりで。「彼が、鼠? ……本当に気持ちよさそうだ。挨拶はまたの機会にさせてもらうことにしよう」言葉の通り心地良さそうな寝息を立てる姿を見るも、耳が帽子で隠れているその姿はまるでただの人の姿。首を傾げるも、眠りの邪魔をしてはいけないとそれ以上見つめるのを止めて。「庭の手入れやこのセッティングは、誰がしているんだい」空いている手頃な席を見つけて腰掛けると、既に並んでいる菓子達を見て問い掛け)
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