2017-01-04 21:35:31 |
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それを、きっと世間一般では
共犯 、と呼ぶのだろう。
[ 蘇芳 ]
真ん丸い瞳はゆらゆら揺れて、目玉いッぱいに自分を映し出す。
「 待たせちゃッた 」
けらりと笑って見せると途端に茶色い瞳が蕩け、やせ細った腕で強く桐を抱きしめ、小さな可愛らしい唇にのせて悪魔のように囁く。それは残酷で、全ての中で最も甘美な響き。
「 大好きだよ、きりくん 」
初めて見た時のあの瞳を忘れることは無い。
どろどろの珈琲のような、底の見えない茶色で塗りたくられた瞳には何も映っておらず、今にも消えてしまいそうな儚さを醸し出す。
それを美しいと、可愛いと、欲しいと、思ってしまった。どんな手を使ってでもこの子を、自分のモノにしたいと思った。
( ヒーローなんかじゃなくて、狼なンだよなァ )
絡みつく腕にそッとキスを落とし、柔らかい髪にも口付ける。両親を亡くして居場所が無くなった、そんなことが
__________ お揃い 、 だなんて 。
ポケットの上から瓶に詰められた錠剤を撫でる。固くひんやりとしたそれが現実を突きつけ、絶望に突き落とすのだ。そうして一生絶望の中で足掻き続ける。
( まァそれも、良いかなッて )
朝日が登る時間、狼は遂に獲物を手に入れた。沢山の犠牲と引換に手に入れた獲物はもう二度と自由にはなれない。
いつまでもいつまでも、死の瞬間まで、彼らは共犯者のまま。
美しく歪んだ愛と共に。
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