201 2016-12-29 23:04:24 |
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ありがとうございます……!
はい、それではそのようにいたしましょう。ご丁寧にありがとうございました!(何もなければこちらは蹴っていただいて構いません)
(重ねなおして、ぎゅっと握られた手がしっとりと汗ばんでいる。直接語られる想いに深呼吸でもしないと叫びだしてしまいそうなくらい嬉しいのに、胸が詰まるからそっぽを向いた。こんな場所でハグなんかできないのに、それ以上のことをしてしまいそうで浅い呼吸を整える。しばらくそうしていた後もう一度彼へ向き直ると、涙をためた切れ長の瞳と視線が交じってぐらりと動揺した。「……想いを伝えあった二人が恋人になる、最高に幸せなシーンのはずだろ?泣かないで。」そう言って、空いた方の手で彼の頬に触れると一度だけ親指で撫でつけすぐに手をおろした。俺はごてごてなハッピーエンドが大好きだ。ヒーローが世界を救って、ついでにヒロインも手に入れてしまうような。俺は別に世界を救ってはいないし、生憎想い人はずっと男だ。だけど例えば自分を主人公にして作る映画での最高のラストが今ここにあって、でもこれは映画ではないから二人にはもっと良い未来が待っているはずなのだ。朝、出くわした俺に彼が向けた恨めしそうな顔を思い出す。だけどわかるよ、本当は少し嬉しかったろう?そういう男を愛してしまった心とじくじく苛む劣等感を同時に抱えつつ、住む世界が違う彼のことを征服しようと躍起になった。その戦いのゴールも知らないのに、欲しくてたまらないと思ってしまった俺の浅はかな欲深さを今は褒めてやりたい。だって彼が俺を引き出したのだ、彼も俺に引き出されたのだと思いたい。「……これから時間ある?化粧落としなんかうちにないし、すぐ帰すから。」眉を下げ懇願するようにうちへ誘った。とにかくこんな誰に見られているかもわからない場所からはいなくなりたくて、それに見せたいものがあったから。一種の確認のようなものだ。こんなの臆病ですっごくダサいから、絶対に悟られたくはないけれど。うちで例の写真を再び見せることでまたこじれてしまうことも込みで、それでもどうしたって俺は彼にあの写真をきちんと直視してほしかった。じっと彼の瞳をのぞき込んで、少し、出会った頃を思い出す。うつくしいひと。あの頃と今じゃ抱く感情は全然違うけど、ずっと俺を魅了してやまないことに変わりはない。瞬き一つ、溜め息一つ。もてるイマジネーションを汚染されたのだ。シャッター音と彼が纏うもの。その二つが空虚なままの俺を埋めた。)
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