201 2016-12-29 23:04:24 |
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(/こちらこそ、合わないようでしたら一声お掛けください。
予想と違う返しかもしれませんが、一応大人ですしこれくらいの機転はきくのかな、と。それに竜児は自分の仕事が好きだと思いますし、何より内弁慶なのでスタッフや同業者がいる中でなりふり構わず、というのは叶わなかったのではないかと……。初っ端から話し合えずですが、根気良く付き合ってやってくれると嬉しいです……!)
……何これ。
(結局一睡も出来ないまま朝イチの仕事をこんな形で迎えるなんて、運が悪い。こういう時に神様を恨むのは、スライドドアからすべり出た一歩目で目が合ってしまった男に対して少なからず罪悪感があるから。というよりも、此処に、ぴったりのタイミングで、どんな意図であろうと会いに来てくれたことが嬉しいと思ってしまった自分を恨むべきで。舞うのをやめて足元で止まった写真は毛布を握り締めて無防備に眠る自分の姿がアップで写されたものだ、撮られた自覚は無いが大量にばら撒かれた他の写真も粗方同じようなものなんだろうか。ありふれた構図なのに、写真自体が持つ力があって、贔屓目だとかじゃなく自分が被写体であることを忘れて綺麗だと感嘆してしまうような迫力がある……バン、背後で車のドアを閉め損ねたペアの女の子が空気を読まずに閉めた音でハッとする。足元と、その付近に撒き散らされた俺や俺や俺の写真、はたまたネガまで、乱暴な手つきで拾い集めて、ぽかんと大口を開けた箱に入れ込む。少し中で折れたりしたかもしれない。やっと近付いてこようとするスタッフの手からもぶん取って上に重ねる。何枚か角がはみ出したままだからきちんと閉まらない蓋を閉めて、つかつかと彼の前に歩み出る。そんなに歩数は要らない。至近距離で、少し高い位置の彼の顔を思い切り睨んでやる、目元が少し赤いのも、膨らんだクマも、全部彼のせいだから、ちゃんと見ておいて欲しい。迎えに来たスタッフがメイクさんに念押しの電話をするくらい酷い顔をしているみたいだから。自分の顔や身体が資本の仕事なのに馬鹿みたいだけど、それくらい俺には大事だってこと、わかってないんだろうな。片手で四角い凶器を、彼のみぞおちに突き立てるように差し出して、寝不足でいつも以上に掠れた声を周りに聞こえるくらいには出力を上げて。「要らないから返す。週刊誌に売るつもりなら売ればいい、どうせ大したネタじゃない。お生憎様だけど誰も傷つかない」素早く彼にだけ聞き取れるトーンで、「後で電話するから帰んな」とだけ言って、後は箱を押し付けて踵を返すだけ。彼がきちんと箱を受け取ったかどうかはどうでもよかった。現場のスタッフ全員が全員良心的な人だとは限らない、あえて知られたくないこと、俺がゲイだとか、彼の素性だとか、詮索されて拡散されるのは趣味じゃないし。もし彼に、自分と同じように思われているなら、"俺ら"を守る為には必要だから。関係者には友達の知人とか言って誤魔化すつもりだ、効き目があるかはわからないけど、咄嗟の判断にしては及第点を頂きたい所存だ。)
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