Sin 2016-12-25 17:13:20 |
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だが、喜んでばかりもいられない。魚雷を撃ち尽くした今、敵に有効打を与えられる火器は最早無い。牽制の為に主砲を撃ち込むが、その全てが弾かれている。
「まだだ、まだ足りねえ……!」
最早敵を沈めることは叶わないが、逃走に転じるにはまだ早すぎる。今少し、時間を稼がねば……。
「っ!」
天龍が刀を振るうと、背後に水柱が二つ上がる。飛来した砲弾を叩き切ったのである。動きの止まった天龍目掛け、砲撃が殺到した。
「ちっ……動けやしねえ……だろーがっ!」
一瞬の隙を見せた内に、敵は照準を定めてしまった。着弾の密度が増し、下手に動けば被弾してしまう。仕方なく、天龍は敵弾を切り払い続けた。
その太刀筋は只の一発さえも通さない。徹甲弾は勿論、時折混じる通常弾は、避弾経始めいて受け流す。信管を作動させぬ繊細な剣技に衰えは無い。
しかし……。
【続】
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