Sin 2016-12-25 17:13:20 |
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「ッッ!……エ?」
レ級は状況が理解できず、痛みも忘れて気の抜けるような声を漏らした。そして、目の前の水柱が崩れ海へ還っていった時、レ級は自身にとって非情な現実を目の当たりにした。
「ア、アア……ヒ……ッ!」
空爆で吹き飛ばしたはずの巨大な影。それが天高く突き上げた円錐状の艤装の中程までを、項垂れたル級の腹部が呑み込んでいた。
「タ、スケ……ッ……。グァ……!」
弱々しく、無理とわかってもレ級に助けを求めたル級だったが、首を掴まれて固定され、円錐状の艤装……即ちドリル……を押し込まれる。
直後、耳障りなモーター音が静かな夜海に轟き、ドリルに貫かれル級は爆散した。
「アア、ア……ヤ、ヤメ、助ケッ……!」
仲間の死に何思う余裕もなく、腰を抜かしたまま海上を後退るレ級。相方の形見である艤装を咄嗟に拾い、それに身を隠しながら。
『それ』はドリルにこびりついた体液を一払いしてレ級に迫る。
「クルナ!コナイデ!コナイデェェッッ!」
狂乱しながら至近距離で砲撃するレ級、近距離では流石に危険か、ドリルと装甲でこれを弾く『それ』。そしてレ級の弾が尽き、海上に空撃ちの乾いた音が響いた時、再び天に掲げられるドリル……。
【続】
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