Sin 2016-12-25 17:13:20 |
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「ハァッ……ハァッ……手コズラセタナ……艦娘メ……。」
「グ……痛イッ……痛、イィ……ッ。」
二人の深海棲艦は立ち上る黒煙を凝視しつつ、荒い呼吸を整えつつ毒づいた。レ級は傷口を押さえて歯を食い縛り、ル級も艤装を手放し、絶え間ない砲撃で酷使された腕を休ませていた。
航空機群の帰投を見届けつつ、ル級はレ級を介抱していた。
「マダ修理デキル。運ガ良カッタナ。」
「ヒ、他人事ダト思ッテ……ッ!オ前ト言ウ奴ハ……。ッッ!ウ、後ロ!」
相方の無神経にも思える発言に毒づきそうになったレ級は、肩越しにル級の背後を指差した。ル級は言われるがままにすぐさま振り向き、言葉を失った。
「ナッ……ヒ、漂流物ガ、ナイ……!?逃ガシタノカ!?」
破壊したはずの敵、その痕跡が残骸から漏出燃料に至るまで確認できない事態に、ル級は艤装を拾い直しつつ辺りを見回した。
そして、全包囲を見回し敵の不在を確認した……と同時に……足下より上がった水柱に呑まれ、レ級と切り離された。
【続】
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