Sin 2016-12-25 17:13:20 |
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水飛沫を巻き上げて接近する影は巨大であった。『それ』は自ら発生させた黒煙を突き破り、二隻の深海棲艦へと迫る。
「硬イッ……!『ヤマト』カッ!?」
左右に主砲塔と舷を模した装甲を持つ『それ』は、ル級の記憶にある大和型艦娘の姿と重なった。自身の主砲を悉く弾く桁違いの装甲と、レ級を大破せしむる火力も、ル級に確信を抱かせる。
「オイ!航空機ハマダ飛バセルダロ!空爆デ仕留メロ!」
「ググ……了、解ッ!」
レ級はふらつきながらも千切れた自身の尾を拾い上げ、力ずくでその顎を開いた。その中からは、夥しい数の楔型の飛翔体が飛び出した。それらは空中で幾つかの編隊を組めば、『艦娘らしきもの』の直上から急降下で迫る。一方のル級は、効かないと知りながらも敵の装甲へ弾を撃ち込み続けその場に釘付けにした。
「二ツニ一ツ……!私ノ主砲カ爆撃カ、ダッ!」
『艦娘らしきもの』はその場を動かず、そして深海艦載機は雨の如き投弾を終え……。
海上に、その日最も大きな水柱が上がった。
【続】
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