Sin 2016-12-25 17:13:20 |
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「っ……!やべっ……!」
戦艦主砲を受け続け、酷使された刀は半ばより砕け折れた。無論……防ぐ術を失った天龍には砲弾が殺到し、彼女は爆風と炎の中へ消えた。
「ヤッタゾ。シブトイ奴ダッタナ。」
「クヒヒッ、最初ヤラレタノハ焦ッタケド……所詮ハ軽巡一人、余裕ヨユウ☆」
ル級はやれやれという風にため息をつき、対称的にレ級は口元を押さえ、肩をすくめて天龍を嘲った。
両者は立ち上る黒煙に近寄り、レ級の方が尻尾の様な艤装を黒煙のただ中へ突っ込み、手探りするように掻き回した。
「ンー?沈ンジャッタノカナ?手加減シタツモリダッタンダケドナ……ア!見ッケ!」
尻尾の先に付いた巨大な口が何かをくわえていた……衣服に至るまでの装備を無惨に破壊され、力なく項垂れて虫の息の天龍を。
「……ぐ……ぅ……。」
「マダ浮イテイタカ……。改メテ、シブトイ奴。」
「ネ、ネ。命乞イシタラ助ケテアゲルヨ。『雑魚ガ粋ガッテスミマセンデシタ』ッテ。ソレカラ……ン?」
レ級は目前に何かが突き出されたのに気付いた。天龍の手である。弱々しくも……その手は挑発的に中指を立て、口元に微かな笑みが浮かんでいる。ル級はそれを見ればレ級をからかうように鼻で笑った。
レ級は暫し呆気に取られていたが、すぐに無邪気な笑みを一瞬の内に失い無表情になった。
「アッソ。ジャア死ネヨ。マ、遺言ノ時間クライハヤル。」
天龍に噛みついている尻尾、その牙が天龍の体に食い込む。
「っぐ……っっ!!……ぁ……!」
歯を食い縛り耐えようとする天龍だが、体を圧迫され呼吸を乱す。残った服を貫き、その柔肌にも既に歯形が刻まれ始めている。
一思いに噛み砕く事も出来たが、今際の際の挑発に腹を立てたようでわざとらしくゆっくりと力を強めていった。
【続】
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