餡蜜 2016-12-11 21:12:39 |
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【向日葵のような君】
君は向日葵みたいな人だ。
オレンジがかった金色の髪や、明るい笑顔に日焼けした健康的な肌。
太陽が似合う君。
そんな君が好きな花も向日葵だっけ。
今でも覚えてるよ。
転んだ俺に君が手を差し伸べてくれたこと。
虐められていた俺に、分け隔てなく接してくれたのは君だけ。
君は俺を助けてくれて、友達だと宣言してくれた。
嬉しかった。
モノクロの日々は君によって照らされ、明るく色づきはじめた。
消えない虐めも前ほど苦にならなくなった。
頭から水を被った日には、君はジャージを貸してくれたっけ。
君の匂いがするジャージを着るのは、なんだかものすごく照れくさくて。
ドキドキして。
暫くして気が付いた。
君に恋をしていることに。
人気者の君に、嫌われ者の俺が恋をするなんて迷惑な話かもしれない。
でも。
「ごめんなさい、…好きです。」
俺は君が好きなんです。
告白しても、君は言葉を返さない。
俺の方を見てくれない。
授業後の君しかいない教室で、君は俺の席を見詰めるだけ。
席じゃなく俺の方を見てよ。
「ねえ、なんで…そんな顔してるの?」
君の頬は濡れていて、俺の目から君と同じものが零れ落ちる。
歪んだ君の表情。
やめてよ。
俺は君の笑った顔が好きなんだ。
君には笑っていて欲しいんだ。
太陽へ顔を向け明るく咲き誇る向日葵のように。
カーテンが風を浴び靡く。
君の向日葵みたいな髪が揺れ、風に乗った黄色い花弁が君の頬を掠めた。
「―――…隼人?」
俺を呼ぶ君の声。
大好きなこの声を、俺は忘れないよ。
だから君も、俺のこと記憶の片隅にでも置いてくれると嬉しいな。
それだけで俺は幸せだ。
さようなら…大好きな、俺の大切な人。
君の視線の先。
教室の窓からは、顔を覗かす一輪の向日葵が風に揺れていた。
――――――――End
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