店を出た茅人はすぐに時刻を確認した。 時刻は十一時二分前。 急いでも待ち合わせ場所に着く頃には、数分遅れた形になるだろう。 ため息を吐きたい気持ちを内心で押さえ、茅人は足早に目的地へ急ぐ。 右手に抱える紙袋を揺らさないよう速度を上げて歩く。 走ればなお早く着くだろうが、せっかく買ったコーヒーが紙袋の中で悲惨な結果になる可能性がある。 それでは意味がないと茅人は足早に歩く事を選んだ。