YUKI 2016-11-19 22:11:18 |
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その女性はもう二時間以上、ハイペースでお酒を飲み続けている。
飲酒経験に疎い茅人の目から見ても、あまり良い飲み方とは思えない。
「なぁ、水城。あの奥のテーブルのお客さん、止めた方がよくないか?」
茅人に声をかけられた水城は、さりげなく茅人の言う席に視線を合わし、なんて事はないと言うかのように返事を返した。
「あぁ、あの常連さん、そこそこ売れている小説作家らしいんだけど、最近全然書けなくなっちゃったらしくてさ。結構荒れてんだよ」
「へぇ、物書きの先生っていうのも大変なんだな」
水城の言葉を聞いて茅人は、女性のいるテーブル上の様子に納得した。
テーブルの上には開かれたもののほとんど触れもしないノートパソコンに、やたら分厚い紙の束や、いくつかの本があり、しかしそれらを拒絶するかのよう女性はお酒を飲み続けている。
あの様子では、日常生活も荒れていそうだ。
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