YUKI 2016-11-19 22:11:18 |
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茅人の凛とした声に汐は、僅かな驚きを見せる。
しかし次の瞬間、それは静かな拒絶の色に変わった。
「それは…、困るわ。私と茅人君の恋人関係は、仮のものなのよ?線引きは絶対必要なの。それでないと、私が困るのよ」
表情を曇らす汐の反応に、茅人は思考を働かせる。
汐は報酬を払えないと困ると言う。
だが、茅人にもそれを受け取るつもりはない。
しかし、これでは時間だけが流れ、話が進みそうもない。
悩む茅人の指先が、テーブルに重ねられていた分厚い一冊の本に触れた。
そしてその本により、名案が浮かぶ。
「分かりました。それでしたら報酬は、受け取らせていただきます」
茅人の言葉に汐は安堵する。
「そう、良かったわ」
「ただ、その報酬の事なんですが、こちらから提案してもいいですか?」
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