YUKI 2016-11-19 22:11:18 |
通報 |
(嘘は、ついてないよな…)
付き合いも長くそれなりに親しい水城に、茅人自身嘘をつくのは抵抗がある。
だからといってすべて話すのは汐に対して悪い気がして、言葉を濁すのが精一杯の譲歩だった。
水城流に言えば『言い忘れ』と言う事で許してくれればいいと、茅人は心の中で水城に謝る。
着替えを終え、店のマスターに頼まれた備品を運んでいると、あっという間に開店時間が近づいてきた。
カウンター内には磨かれたグラスや大小多数の食器、冷蔵庫にはこれから消費されるであろう食材がしっかりと収まっている。
「では開店します、今日も一日よろしくお願いします」
マスターの声に店員達が短い返事を返し、外の看板に明かりがついた。
さぁ、もう後には戻れない。
茅人に出来る事は自身のすべき仕事をこなし、汐の来店を待つだけだ。
トピック検索 |