YUKI 2016-11-19 22:11:18 |
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茅人は自身の過去を思い出し語り続け、心にある傷に触れる感覚を覚えた。
それは鋭利な刃物で抉られるような痛みで、それでもいつかは再び見つめ直さなくてはいけないものなのだろう。
「卒業式の日、僕は彼女と近くの公園で待ち合わせをしました。でも、彼女が園内に入る事はありませんでした。公園の前にわたる歩道で、交通事故に巻き込まれたんです」
過去からの痛みは記憶を呼び起こす。
あの日、目の前で起きた交通事故。
歩道側の信号機は青だった。
アスファルトには、彼女の体と赤い血液。
バイクを運転していた運転手は、ほぼ即死だったらしい。
警察は書類送検で片づけ、残されたのは闇のような悲しみと孤独だけだった。
「…僕は、まだ彼女を忘れられません。他の誰より失った彼女が大切です。今もまだ、僕は彼女が好きなんです。ですから、僕は誰ともお付き合い出来ません」
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