プロローグ 始まりがあるから、終わりがある。 出会いがあるから、別れがある。 そんな事は誰もが知っているはずなのに、彼らはそれを何度経験すれば学ぶのだろう。 そしてそれは、彼女と僕にも言える事だ。 彼女は何故、意味のない時を過ごすのだろうか。 何も渡せない僕は何故、彼女の側にいるのだろうか。 そう、過去という夢のように古い記憶を指先で辿る、亡者のような僕に、捧げられる物など何もありはしないのに。