「それで、俺を買うんだね?」
此処は吉原。華やかな街に偽りの愛を求める人集りで溢れる此処に、風変わった高級店が一つ。
「どうかこの俺と一夜限りの戯れを」
男が男を買う。青年の花魁を集めた店。
「まことは、誰か一人のため地咲いていたかったのだけれど」
江戸において、青年同士の恋愛は衆道と呼ばれ、おかしな事ではなかった。
「あなた様どうか俺を、飼っていただけないでしょうか?」
むしろ、狂っていたのは。
「だけど僕は、安くないよ」
ここに居る花魁達は皆、遊女が遊女の身で有りながら子を隠れて産み落とし、捕まり売られ浚われた男児のなれの果てなのであった。
「望むことは」
ただ、男の花魁として一生を費やすつもりはなかった。望む誰かに、愛せるような誰かに落籍されることをただただ一身に祈るだけ。
「「「鳥籠の外、連れ出して」」」
ここは遊男遊郭、「松ノ木」。
三人の花魁と、三人の上客が交わすお話。
おまちください。