北風 2016-09-11 16:47:48 |
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ぐちゃ。
と、嫌な感覚。
男の動きがぴたりと止まる。
手に、刃物と伝って温かい液体が流れてきた。
私「…………え?」
そう呟くと同時に、力を失った男の体が私に覆い被さってくる。
私「………………」
私は震える手を何とか刃物の柄から外し、男の体の下から引っこ抜き、目の前に持ってきた。
そしてその手が真っ赤に染まっているのを確認すると、思い切り息を吸い込む。
私「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
そこからはよく覚えていない。
たくさんの怖い顔した大人がどこからともなく出てきて、返り血を浴びた私と倒れている男を見て何か喚いた後私を捕まえようとしてきたことくらいしか覚えていない。
いやバリバリ覚えてるじゃねぇか、自分。
ぅぅぅ……いっそ忘れられたら楽だったのに。
色んな凄絶な体験をしてきているからか、私はどうもメンタルが大分強いらしく、ショックで記憶が飛ぶなんていう事は無かった。
だから現実を見なければならない。
認めなくてはならない。
私が刺してしまった男はヤ●ザの親玉であるという事を。
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