八咫鴉 2016-08-27 17:34:53 |
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(重苦しかった雰囲気を壊すように、明るく振舞って冗談を言ってみたりしたものの、それは強がりに過ぎない。本当は、本当はと何度本心を言いたくなったことか。それで逃げ出しても意味がないことは分かっている。自分でどうにかするしかないのだ。落ち着きを取り戻したとは言え、気を緩めば気が狂ってしまいそうな自身を保つためにも敢えていつもどおりの自分を繕い。そんな状況化で、自分の冗談に乗ってくれるこの目の前の男の存在はありがたかった。例え、人間ではなかろうが誰かいれば心強いことは確かで「アホか。俺は、そんなんなくても寝れるっちゅーの」軽く口答えしながら、歩いていく後ろ姿についていき、それほど時間もかからずたどり着いた一室には机やら布団やらと一応生活できる空間になっている場だった。して、どこか生活感が漂う部屋に、以前自分よりも前にここに閉じ込められる人がいたのだろうかという考えにいたり、また謎は深まるばかり。食事という言葉に、ふと、そういえばと思い出し、詳しく問うためにも隣の彼へと目線を落とすと、見たことのない穏やかな微笑があった。何も言えず、動けずにいれば後頭部に伸びた両腕に驚き抵抗するまもなく男と距離が近づく。聞こえた声は、どこか安心させてくれるような声だった。あぁ、こんな声を聞いたことがある気がすると、ぼんやりと思っていればいつの間にか男との距離は下へ戻っており、目の前にいるのは変わらずの意地悪いものを滲ませる笑み。冗談か、もしくは本当か定かではないことを述べられたあと強制的に部屋の中へ押し込まれ。急であったことで、そのまま畳へと顔面衝突してしまい文句を言おうと体を起こすも、障子は既に閉められており。仕方ないとため息を一つこぼし、「…おやすみ」聞こえてはないと思うが、虫の音に遮られながらも小さな声を紡ぎ。疲れで立ち上がることも面倒になったか、そのまま地面を這いながら進み、布団の場所へと。仰向けになり背中に柔らかい感触を感じつつ、天井を眺め。暫くそうしていれば、まぶたがだんだんと重くなり、いつの間にか夢の中へ――。障子から漏れてくる朝の日差しに導かれるように目を少し開ける。どこからか聴こえてくる鳥の声に、朝だということを認識すれば重い体を起こし、ふと、昨日の男の言葉を思い出す。そういえば、食事はどうするのだろうか。そんな時外からもの音が。あの男だろうかと立ち上がり障子を少し開けて隙間を作り、そこから覗き込むとその先にいたのは、食事らしいものを抱えた10歳ほどの少女の姿で、)
(/ 此方で、勝手に朝にさせていただいたのと、手鞠ちゃんを登場させたのですがよろしかったでしょうか。あと、手鞠ちゃんは、結界を出入りできるという前提で書かせていただいたのですが、問題ないでしょうか?、)
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