YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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そんな事を思っている藤白の心境は、天宮には伝わっていないだろう。
そうこうして歩いていくと、目の前に昨日の動物病院が見えた。
中にはいると来院者は少なく、すぐに藤白の名前が呼ばれる。
「あら、今日はお二人なんですね、ご兄弟ですか?」
「え、いえ、あの…」
看護士さんの言葉に藤白は言葉を詰まらす。
先程の事を考えると『お客様』という言葉に抵抗がある。
なんと言えばいいのか悩む藤白の横で不意に天宮が代わりに答えた。
「彼女のお店の店員です、アルバイトですけど」
笑って答えている天宮を横目に藤白は、混乱する。
藤白の店は誰も雇ってなどいないし、今のところその気もない。
あの店の規模なら一人でこなせるし、今までだってそうやってきた。
雇えないわけではないが、人に頼らなくてはならないほど藤白自身は弱くはないつもりだ。
なのに、それなのに彼は何を言っているのだろう。
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