YUKI 2016-08-21 01:55:44 |
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診察室に入り、子猫を診てもらっているあいだ、藤白の瞳には心配の色が滲んでしまう。
落ち着くように言われても、いつから子猫が外にいたのか、藤白が気づくのが遅れて手遅れになっていたとしたらと思うと落ち着けるわけなどない。
しかしその不安は、次の先生の一言で安心へと変わる。
「見たところ怪我もありませんし、おそらく問題はありませんけど、念のため検査しましょう。今日はこのまま入院して、明日、また迎えに来ていただけますか?」
「はい、よろしくお願いします、明日また来ます」
優しそうな先生の微笑みに藤白も気持ちを落ち着け、ようやく笑顔が戻った。
病院を出た時には、すでに外は夕闇に染まり始めていた。
帰路につく藤白の手には、あのクローバーの栞が握られていた。
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